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アンジェリカ 第二節18 剣の代償(つるぎのだいしょう)
2007-11-17 Sat 20:45
次の目的地、クレイダー邸には程なく着いた。

 エリック=クレイダーは名門の貴族の家系であり、また代々法務官を勤めてもいた。

 ゆえにエリックの手腕とその権力を使えば、事件の一つや二つをもみ消すのは容易だったろう。

 男の肩に担がれたまま、僕はそんなことを考えていた。

 だが、僕には分からなかった、何故彼がそんなことをしなければならなかったのか……

「おい、考え事は後にしろ」

 男が言って僕を降ろす。

 僕は気を取り直し屋敷に踏み入れた。

 ここの構造は大体頭に入っている。

 姉と一緒に何度かここに足を運んでいるのだ。

 僕たちは玄関から一直線でエリックの部屋に急いだ。

 屋敷に入ってから誰と出会う事もなかった。

 僕がエリックの部屋の前で立ち止まりドアノブを捻るが鍵がかかっていたあかない。

 男は無言で僕を押しのけドアを蹴破る。

 凄まじい音と共に現れたのは相変わらず恐ろしく広い部屋だった、見渡す限り豪華な調度品が飾られている。

 そして、そこにいたのは、エリックと……数人の女たちだった。

「な、なんだ、いきなり君たちは…………って、ウェイン君!?」

 エリックが驚きの声を上げる。

「エリックさん……あなたという人は……」

 僕は、こんな男を信用していた自分が情けなくなった。

 僕は脱力してへたり込んだ。

「こんなやつに……こんなやつに姉さんは弄ばれた挙句殺されたのか……」
 
 僕の目からは涙すら出てこなかった。

「お楽しみのようだね」

 それは部屋の奥から唐突に聞こえた。

 声の主、父は部屋に設えられたソファに腰掛けていた。

「お、おとうさん!?」

 エリックが叫ぶ。

 その声にははっきりと動揺が見て取れる。

「君にそういう呼び方をしてもらえるとはね……虫唾が走るよ」

 父の瞳に赤い光が灯る。

「ねえ、なにこの人たち?」

 女がエリックに話しかける。

「ああ、分かった、こないだかウザイから殺してもらったって言ってた女の関係者ね?」

 他の女が言って笑う

 パチン

 父が指を鳴らす。

 すると、宙に剣が数本現れ、凄まじいスピードで打ち出されたそれらは女たちの急所を性格に射抜いた。

 女達はなす術もなく絶命する。

「ヒィっ!」

 エリックが声を上げる。

「まったく、君と話をしているというのに、うるさい蝿だ、そう思わないかね、エリック君?」

 エリックはかくかくと首を縦に振る

 父は、あの笑みを湛えたままエリックの近くに歩み寄る。

 エリックは恐怖に顔を引きつらせる。

「さて、今日は何の用があってここに来たか、見当はついているね?」

「な……何のことやら……」

 白を切るエリックの目の前に父が握りこぶしを差し出す。

「ヒッ」

 エリックは目を瞑る

「何を怖がっているんだね、よく見なさい」

 父にいわれエリックはゆっくり目を開ける。

 父はゆっくりと手を開くと、そこには細長い何かが載っていた。

「君はよくこれを見ているんじゃないかね?」

 エリックはそれをよく見ていた、そして青ざめてエリックが自分の手を見ると、右手の人差し指がなくなっていた。

 思い出したように傷口から血が吹き出す。

 エリックは声もなくうずくまる。

「娘をよくも殺してくれたね……君は“剣の代償”という言葉を知っているかね?」

父指を投げ捨て、笑みをエリックに向けて問うた。



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