FC2ブログ
 
アンジェリカ 第二節19 舞踏(ぶとう) 
2007-11-17 Sat 20:45
「娘をよくも殺してくれたね・・・君は“剣の代償”という言葉を知っているかね?」

 父指を投げ捨て、笑みをエリックに向け問うた。

 エリックは涙目で父を睨み付ける。

「剣を持ち、人を殺めた罪の代償はその殺めた者の命と等価ということだよ、君にはたっぷりと苦しんだ後、代価を払ってもらおう・・・」

「た、助けてくれウェイン君、お願いだ!」

 エリックが必死の形相で助けを求めてくる。

「父さん、もう止めてくれ、こんなの間違ってる!」

 僕は父に訴えかける

 男はただ見ているだけで手出しをしようとはしない。

「ウェイン、お前は黙っていなさい……さて、その前に、君と決着をつけようか……水を差されても困るのでね」

父は男に目を向ける。

「邪魔をするほど野暮じゃねぇが……」

 男は言って右腕一本で巨大な炎の刀身を構え、不敵な笑みを浮かべる。

「お相手願おうか」

 父もそれに答えるように笑みを深める

 そして、突然に宙に十数本の剣が現れる。

 僕は危険を感じ男から急いで離れる。

 僕が十分に距離をとると同時に剣が男に襲い掛かる。

 男の白銀の髪か広がり、男の姿がぶれる。

 ガキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキィン

 男はそれらを巨大な白い炎の刀身を凄まじい速度で振り、次々と見事に剣を打ち砕き落としていく。

 砕け散り煌く刃の破片と、輝く白銀の軌跡に彩られたそれは、まるで舞っているかのようだった。

 後ろから襲い掛かってくる剣も難なくかわして打ち砕き、男は全ての剣を見事に叩き落した。

「余興は……終わりか?」

 男は剣を肩に担ぎ、不敵な笑みはそのままに問いかける。

 あれだけ動いていたにも関わらず息一つきらせていない。

「全て刃の側面を撃つか……大したものだ、では、これならどうかな?」

 バキャアッ

凄まじい音と共に突然天井から巨大な刃が男の頭上めがけて降ってくる。
 そう、先刻男の腕を切り落としたあの剣だ、しかも今度は何本も雨のように降り注ぐ。

 男はとっさにそれを見上げるが、かわす時間はなく、男の姿は刃の雨に呑まれる。

 あまりの負荷に床が抜け、男と巨大な剣の群れは階下に姿を消す。

「あっけないものだな……」

 目に赤い光を灯したまま呟き父はこちらに目を向ける。

「さあ、待たせたね、続きといこうじゃないか」

 父は笑みを浮かべエリックに近付く。

「ヒ……ヒイッ」

 エリックが声を上げ後退る。

 僕は、進み出て両手を広げ父の前に立ち塞がった。

「そこをどきなさい、ウェイン」

 父は立ち止まり僕に声をかける。

 その声音はあくまでも優しい、だがその瞳に僕の姿は映っていないように思えた。

「父さん、もういい……もういいんだ、これ以上罪を重ねないでくれ、姉さんだって……姉さんだってこんなことは望んじゃいない!」

 僕は父に訴えかけた。

 僕の目尻から熱いものが零れて頬を伝う。

「どくんだ」

「いやだっ」

 尚も言う父に僕は叫んだ。

「私の言うことが聞けないのか?」

 父が僕に厳しい視線を送ってくる。

 それに対し僕は思わず引き下がりそうになる。

 考えてみれば。僕は父に逆らったことがなかった。

 父の言うことはいつも正しかった、いや、今でも正しいと思っている。

 父の言うことにはいつも筋が通っていたし、何より父は思慮深い人間だった。

 確かに僕だって後ろにいるエリックを殺したいほど憎んでいる。

(でも……こんなのは違う、父さんが人殺しをして罪を重ねることなんて姉さんが望むはずもない、それに、これじゃまるで……まるで父さんは化け物じゃないか)

 僕は、踏みとどまって父と目を合わせる

「どかない……どんなことがあっても僕はここをどかない……いつもの……いつもの優しくて、厳しい父さんに戻ってくれるまで、僕はここをどかない!」

僕は精一杯の決意を言葉と視線に込めた。

「そうか……なら仕方がない……少々手荒な真似をしても……そこをどかせるまでだ」

 父は言って右手を振り上げる。

 僕は思わずきつく目を閉じた。



次へ●第二節20 義務(ぎむ)

前へ●第二節18 剣の代償(つるぎのだいしょう)

トップページへ



↑一日一回ポチしてください

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
↑さらにこちらも一日一回……;


ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「アンジェリカ」に投票
↑ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
↑一ヶ月に一回こちらも。(あつかましい)

別窓 | 第二節 | コメント:12 | トラックバック:0 | top↑
<<アンジェリカ 第二節18 剣の代償(つるぎのだいしょう) |   銀蛇の巣 | 無題 第二話7>>
この記事のコメント
父さいこうwwwかっこよすぎるわ~
まさか「ゲート オブ バビロン」を使えるとは…(fateか!
ウェインの必死な姿も感動ものです
2007-11-17 Sat 23:36 | URL | 蒼月樹 作也 #mQop/nM.[ 内容変更] | top↑
おとうさーんっっ
なんかもう、超人になってしまって・・・
ウェインに惚れました(え
いや、素敵な子です(ヲイ
2007-11-17 Sat 23:46 | URL | ウィスペル #-[ 内容変更] | top↑
エリックさん…そんな動機だったのかー!(T-T)
なにも殺さなくても~!ウェイン君のお姉さんは性格よさそうだし、別れ話がこじれるとも思えないのだが…。

ああ、関係ないところで反応しちゃってすいません(><);

お父さんは、なんかもう…すっかりあっちに行っちゃってますねー。

うちのサイト改装して、タイトルが変わってますが、これまでどおり「ベルリオースの剣」がメインです。リンクはそのままで大丈夫です。では。
2007-11-18 Sun 07:24 | URL | Michi #goVLvfsE[ 内容変更] | top↑
蒼月樹 作也さん
祝福を得て人の領域から出てしまったお父さん大暴走ですなw
ウェイン君の懸命な言葉も、最早届かない……

ウィスペルさん
お父さんはマジで超人に;;
ウェインは真っ直ぐないい子です。

Michiさん
フローラさんのお腹にはエリックとの子供が出来てましたので; ※「アンジェリカ 第二節14 依頼(いらい)」参照
今考えればもう少しここに触れておけばよかったかもしれないですね……
エリックは数ある私の書いたキャラ達の中で最低の奴です;
リンク変えときます♪
2007-11-18 Sun 09:39 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
 こんにちは。
 お邪魔しております。
 ぶざまなエリック、許せませんね。イッキにたたんでしまいましょう(笑)
 複雑な心理戦、あの男がどう裁きをつけるのか見ものなのに、戻って来てくれないと困ります。
 無事でいるのか――
 次回、お待ちしております。
 
 
2007-11-18 Sun 11:54 | URL | 紗羅の木 #EBUSheBA[ 内容変更] | top↑
紗羅の木さん
こんにちは。
いらっしゃいませww
エリックは最低です(ぁ

さすがにこれからどうなるかは言えませんが;
次回を待ってくれる人がいるというのはうれしい限りです。
直しとかがんばります。




2007-11-18 Sun 20:48 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
 空から降り注ぐ剣の雨。

 最高っす。

 親父さんの一方的すぎる攻めにどう対抗していくのか、楽しみです。
2007-11-18 Sun 21:02 | URL | 鳥吉 #026aT6s6[ 内容変更] | top↑
鳥吉 さん
ド派手なシーンが売りですからww
次回は……やっぱ言えません;;
2007-11-19 Mon 20:16 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
おと~~~~さ~~~~~~ん!!!!



エリック邪魔www
2007-11-19 Mon 21:25 | URL | www121 #-[ 内容変更] | top↑
www121 さん
読んでくれたか。
ありがとうございますw

エリックは確かに邪魔だw
2007-11-19 Mon 21:55 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
もはや父さん後戻りできない道に足を突っ込んでますね…
元の父さんには戻れないだろうなぁ。

どかせる>>つまり排除ですね(笑)
2007-11-19 Mon 23:31 | URL | N&E #Tf9aLMeg[ 内容変更] | top↑
N&Eさん
父さんは……最早後戻りは出来ませんね;
さてこれからどうなるのか。
見てのお楽しみという事でw


2007-11-20 Tue 07:21 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
|   銀蛇の巣 |