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アンジェリカ第二節23 正義(せいぎ)
2007-12-15 Sat 21:29
「父さあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 僕は月に向かって慟哭した
 少しの間なのか、長い時が流れたのか分からなかったが、僕は泣き続けていた。

 あまりに深い悲しみに涙が止まらない。

 だが、やっと僕は落ち着いてきていた。

 顔を上げると男と、二人組が静かに向かい合い佇んでいた。

「……汝が噂に聞く“抗(あらが)う者”か……我が名はホルス」

 二人組みのうちの男、ホルスが男に名乗る。

「我が名はアストラ……十二使徒が一席に座す者也」

 女がそれに続く。

「ほう、ご丁寧に自己紹介か、残念ながら俺はこれから殺す相手の名前を憶えるほど暇じゃねぇんでな……にしても“福音を賜りし十二人”ってのも適当なもんだな、二人で一席かよ」

 男はいつの間にか剣に形状に戻っている白い炎を肩に担ぎ二人に獰猛な笑みを向ける。

「それは汝が真理を見ていないからに他ならぬ……」

 ホルスが意味深げに言葉を紡ぐ。

「あんたたちは……なんなんだ、何のために……こんな……」

 僕は立ち上がって口を挟む。

 それを聞かずにはいられなかった。

 父が何故あんな事になってしまったかという事を。

「……いいでしょう、あなたには聞く権利がある」

 アストラが言って僕に微笑を向ける。

「我らは標(しるべ)、世界を導く聖天使の代行者にして聖天使の三つの意思のうちが一つ、“秩序”を信奉する四人……“鋼の教典”に名を連ねるもの」

ホルスが厳かに語る。

「我らはこの世界に遍く一切の悪、一切の混沌を断罪し、その先に絶対なる秩序の下、理想の世界を構築するため、選ばれし者を募っている」

 アストラがホルスの言葉を継ぐ。

「世界を粛清した後(のち)に残ったものは我らの築く理想郷に導かれるであろう」

 ホルスが笑みを浮かべる。

 その瞳に僕は狂気の光を見た。

「そこには飢えて苦しむものはいない、盗みを働くものも、他者を騙し陥れるものも、争いに血を流す者も、国を追われ彷徨う者も……いや、国などという下らぬ枠組みすらも、その意味を無くすであろう」

 アストラのほうもその瞳に熱を帯び始める。

「世界は聖天使の慈愛の御光(みひかり)と優しき御声(みこえ)で満たされ、世界は絶対なる正義と秩序の下に真に祝福され、喜びで満たされるであろう」

 ホルスはその瞳に狂気を秘めたまま聖天使を讃える。

「ウェイン=ストライフ、汝には我らが理想郷に到る資格がある……我らが同志であった汝の父の意思を継ぎ、世界に絶対なる秩序を築こうではないか」

 ホルスは言葉を継ぐ。

 僕は何も言わず二人を見つめていた。

 二人の語るそれは確かに理想の世界だった。

 それが実現するならもう姉や、父のような悲しい道をたどる人はいなくなるだろう。

「クククク……黙って聞いてみてりゃあ、お前等化け物らしい短絡思考だな」

 男が含み笑いを漏らしそう口にした。

「実現すれば実に素晴らしい世界だな……素晴らしすぎて反吐が出るがな」

 男はそう続けて笑みを浮かべる。

 ホルスとアストラの視線が僕から男に向く。

 僕も男を見つめた。

「正義だの秩序だのと、耳障りのいい言葉をお前らが並べ立てた所で、俺には空寒いだけだ……要するにお前らはこう言いたいんだろうが」

 男は言葉を切り口の片端をさらに吊り上げ眼光の鋭さを増す。

「……気に食わない奴と、思い通りにならないヤツはブチ殺すってなぁ!」

 その言葉はあまりに乱暴で、粗雑だった。

 しかし先程の飾り立てられた言葉は、正にここに帰結するといってもよかった。

 そのとき僕は正義という言葉の素顔を見た気がした。

「そんな回りくどい上に、下らない物言いなんざ、どうでもいい、テメェらのほざく正義なんてのも所詮血塗られた道だろうがよ……」

男は担いでいた剣を構え直し

「なら、こいつでそれを示すのが道理だ、違うか?」




なかなかエリックのオチが出せなくてすみません;
次週ついに……!


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この記事のコメント
この記事はまだ編集中かな…?
すみませんが早めに感想いれてしまいますよー。

圧制者って、ひどいことたくさんして非難される一方で、
熱狂的な崇拝者もあらわれるから、ふしぎだなぁ…

と、以前に思ったことを、今回の話を読んで思い出しました。

それにしても、
あいかわらず安定していて上手いですね。
一読者として楽しめるのがすごいですよ。
安心して読めるので、疲れているときはありがたいですー^^;

銀蛇さんはけっこう正義感の人なのに、
テーマがダーク系なのもなんだか面白いですね。

…と、ランキング押してもらったから、
ちょっと褒めてみたりしてー(笑)

いやいや、嘘じゃないですよ!

ではまたー。
2007-12-15 Sat 22:12 | URL | Michi #goVLvfsE[ 内容変更] | top↑
Michiさん
フセインとかそうでしたよね;
深い闇を抱えてる人は抱いてる光も強い……わけないか;;;
極端な人間です;;

嘘でもうれしいですよー^^


2007-12-15 Sat 23:02 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
読みましたー♪
すっごく続きが気になります・・・・っっ
何なのでしょうっっ
あの二人組みは・・・・・っっ
2007-12-16 Sun 13:24 | URL | ウィスペル #-[ 内容変更] | top↑
ウィスペル さん
十二使徒の正体は……明かさないかもしれません(をぃ
ただいえるのは彼らが千数百年にわたって人の歴史に介入し、歴史を裏から操っていた事。
今乱立する国々権力の中枢にも彼らの眷属が潜り込んでいる事もよくあります。
幾多もの戦火と悲劇を振りまいて彼らは眷属の数を着々と増やしているのです。

2007-12-16 Sun 17:04 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
 新たな戦闘開始っすか?!相変わらず主人公、タフですねぇ・・・。

 てっきり親父さんとの戦闘終了と同時にエンディングへと流れていくものとばかり思っていたので意外な展開です。
 
 続き楽しみです!
2007-12-16 Sun 17:39 | URL | 鳥吉 #026aT6s6[ 内容変更] | top↑
実のところやせ我慢だったり(をぃ

ここも大半が書き足しだったり;
2007-12-16 Sun 17:58 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
 何となく宗教色めいた敵が出てきたなー。
 個人的にはこの連中の背景が浮き彫りになるといいかなと言う感じ。
 ただ、下手にいじるとうまくない焦げたカレーになっちゃいそうだけどね。
 
 使徒とか天使の名前を出しちゃうと気になっちゃう人間もいるので(笑)
 
2007-12-16 Sun 19:07 | URL | ぬこ #kSW9UhRw[ 内容変更] | top↑
偽神父ですからね;
この”鋼の教典”の派閥が一番天使的なイメージですね。
本質は冷徹なな断罪者ですが

天使又は悪魔の名は使おうかとも思いましたがやめました。
うそ臭くなりそうで;
2007-12-16 Sun 19:37 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
 こんばんは。ご無沙汰しております。
 ホルスとアストラ――非常に胡散臭い連中ですね。詭弁を弄しているようでいやな感じです。
 十二使徒の本当の狙いは何なのか――とりあえず主人公が目障りでしかたないみたいですね。
 
 エリックのオチ、銀蛇様のとっておきがありそう。期待してます。
 トップのイラスト、拝見しました。カッコイイですね!
 
2007-12-16 Sun 21:41 | URL | 紗羅の木 #EBUSheBA[ 内容変更] | top↑
ホルス…相手の魔法を無効n…(ry
エリックはきっと今頃のびているはずw
彼にはどんな制裁が待っているのか!?
2007-12-17 Mon 01:09 | URL | 蒼月樹 作也 #jISoVqTc[ 内容変更] | top↑
紗羅の木さん
胡散臭いですね。
彼らの目的は……なんでしょう?(をぃ

エリックは……

くろのさんは絵がうまいですww




2007-12-17 Mon 20:40 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
蒼月樹 作也さん
遊戯王好きですなww
エリック君は……
2007-12-17 Mon 20:42 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
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