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2008-02-16 Sat 19:37
エミリが帰ってから数日、世界の色が変わった、全てのものに色が戻り、体に活力が漲るのを感じる。
ぼくは走っていた、両手いっぱいに食べ物を抱えて住処の廃屋に急ぐ。 「お帰り、お兄ちゃん」 廃屋に戻ると妹が笑顔で迎えてくれた。 「お兄ちゃん、今日も走ってたの?」 エミリの問いにぼくは息を整えて笑みを浮かべ 「ああ」 と答えた。 ぼくは心の中で胸を撫で下ろす。 急いでいたのはエミリの顔を早く見たかったのもあるが、見ていないうちにエミリがまた死体に戻ってしまうのではないかそんな不安があったからだ。 ぼくが廃屋に踏み入れると、エミリがズタ袋を敷く、ぼくはそこに食べ物を置いた。 「今日はどうしたの、すごくいっぱい」 エミリが驚きの声を上げる。 「パン屋さんが奮発してくれたんだ、さあ食べよう」 「うん」 エミリは言ってパンに手を伸ばす。 「エミリ、その前にお祈り・・・だろ?」 僕の言葉にエミリは手を止める 「そ・・・そうだったね」 エミリはぎこちない笑みを浮かべて手を引く。 エミリが帰ってから話をして、記憶に障害はないようだった、だが、時々だが何か違和感を覚える行動をとることがあった。 エミリは聖天使様へのお祈りを忘れることなどなかった それに何かが違った、しゃべり方や仕種は確かにエミリのものだが何かが違うのだ、それが何なのかは分からないが・・・ 「お兄ちゃん?」 エミリの声でぼくは思考を遮られ、現実に引き戻される。 「あ・・・ああ、じゃあお祈りをしよう」 ぼくは少し慌てて言って手を胸の前で組み目を瞑る 「我らが今日の糧を得られることを聖天使に感謝し、今日も我らが健やかにあらんことを・・・」 数秒後、ぼくとエミリは目を開け、今日の糧に手をつけた。 エミリは早速パンを食べている。 「おいしいかい?」 「うん」 ぼくの問いにエミリは笑顔で答える。 エミリは帰ってきてからはよく食べるようになった。 そしてどんどん健康になっていく。 前までは今食べているパンの半分を食べるのもやっとだった。 こういったことはうれしくはあったが、反面何かエミリが別人になったような気がした。 エミリはあっという間にパンをたいらげ次に手を伸ばす。 ぼくはそれを見つめていた。 「どうしたの、お兄ちゃん、具合悪いの?」 「あ、いや、そんなことはないよ、ただエミリが元気になってよかったって思ってたんだ」 ぼくは慌てて取り繕いパンを齧った。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 翌日 ぼくはいつものように食べ物を探してうろついていた。 そんな中、ふとぼくは北の山に目を向ける。 北の山からは煙は立ち上っていない。 最近になって疫病はやっと収まってきていた。 エミリが帰った日の翌日からここ数日北の山から煙は立ち上っていない。 「よう」 突然に声をかけられぼくは肩を竦ませ振り返ると、そこにはぼくと同い年くらいの少年ジャンがいた。 「ジャンか、びっくりしたじゃないか」 「お前がボーっとしてるのが悪いんだよ、アレン」 ジャンが言って悪戯っぽく笑った。 「久しぶり・・・今まで一体何してたんだい?」 「まぁ、こっちもいろいろあってな」 ジャンは僕の問いに言葉を濁した。 ジャンが人に言えないことをしてお金を手に入れているのはうすうす感づいている。 だが、ぼくはあえてそこに触れないことにしている。 ぼくたちのような境遇に置かれているものは、大なり小なりそういったことに関わらざるを得ないことはここにきてなんとなくだが知った。 いつかはぼくも犯罪に手を染めなければ妹を守っていけないのだろうとも思う。 「・・・で、何か面白い話ある?」 「ああ、それならあるぜ、知ってるか、北の山のウワサ」 ジャンの問いにぼくは首を傾げる。 「なんのこと?」 ぼくの反応にジャンは満足げに頷き 「知らないようだね、よろしい、教えてあげよう」 と、えらそうに腕を組んで言う。 ジャンはこういった情報をよくぼくに教えてくれた。 どちらかというと情報通であることをぼくにひけらかしたいだけという節もあったが、こういった街の噂話や時には食べ物のある場所などを教えてくれる存在はありがたかった。 「あそこには知ってのとおり焼却場ってのがあるわけだけど、ここ最近あそこから煙が立ち上らない、疫病で死んでる奴はまだいるんだからあそこが動いてないのはおかしいと思わないか?」 言われてみればそうだ、と、ぼくが感心しているとジャンはまた満足げな表情をする。 「どうやらあそこに化け物が出ったって話しなんだよ」 「ばけもの?」 僕は胡散臭い言葉に顔をしかめる。 「まあ、その辺の内容はいろいろなんだけど、死体たちが動き出して焼却場の人間全員食い殺したとか、最近町をうろついてる墓穴から這い出してきたような白尽くめの男が関わってるだのどうだのって話になってるらしいぜ、まあ、どっちにしても今あそこは閉鎖になってるらしい」 墓から這い出してきたような白尽くめの男・・・ その言葉はあのときぼくにパンをよこした男を思い出させた。 そういえばあの男はぼくに死体を集めている場所を聞いてきた。 「もっとそのことについて何かないの?」 ぼくの問いにジャンは少し顔をしかめ 「うーん、とにかくあの焼却場にいた、生きている人間全てが消えてしまったらしいんだ、偉そうにいってるけど詳しくはオレも知らないんだけどな」 ジャンは言ってこめかみの辺りを掻いた。 「そういやエミリちゃんは元気か?」 ジャンは話題を変える。 「ああ、元気すぎるくらい元気になったよ」 ぼくが言うとジャンの顔から笑みがこぼれる 「そりゃあよかった、お前妹大事にしてるもんな」 すれた印象のあるジャンだが、こういった表情を見るとやはりぼくと同年代の子供なんだと思える。 「よかったらぼくのところに寄ってかないかい、大したものは出せないけど君が来れば妹も喜ぶよ」 「お、そうか、それじゃおじゃましようかな」 ジャンはぼくの誘いを受け、一緒に家に向かった。 ![]() ↑一日一回ポチしてください ↑さらにこちらも一日一回……; ![]() ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「アンジェリカ」に投票 ↑ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回) ↑一ヶ月に一回こちらも。(あつかましい) 次へ●第三節8 疑惑(ぎわく)new 前へ●第三節6 帰還(きかん) トップページへ |
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ジャン、久々の登場ですね。
そしてアレン…お前はエミリを誰よりも知っているはずだろ!気付いているはずだぞ!!ただその事実を受け取れないだけだろ… 人間、生きていれば悲しいこと、つらいことはたくさん経験します。だけど、それで立ち止まることなく、前を向いて少しずつでも歩んで欲しいです。 というわけのわからないコメすいません。次回はアレンがつらい現実を目にしそう…そしてマシュウは出てこないと予想(笑) こんばんは。ミミックですw;
色々あって、HNが変わりました。 違和感あるでしょうが、これから立派なミミックになっていきたいので、よろしくお願いします。 それはそうと…。 次の話は怖いことになってそうですなぁ。 私は今の段階でエミリちゃんが怖いですがww ジャンの登場がうれしいw 続きwktkです^^ また来ます^^^ どんなことをしても、命は戻ることはできない、それは、世界のことわりだから・・・
なんて言葉を思い出します〜 ア、アレン君、気づいてくださいっっ と、応援します(何 なにがなんやら・・・・。
マシュウさんが生き返らせたとは・・・正直考えにくいですしね・・。それに、何の力もなさそうな死人を蘇らせたメリットもわからない・・・。 おおっと・・・謎だらけで、面白いことになってきましたよ〜! 次回楽しみにしていますね。 熱いコメントありがとうございます。
受け入れがたい現実ってありますよね。 そういう時に都合のいい現実を出されたら…… どうしてもそれにすがってしまうのも人間なのかもしれませんね。 アレンは自らの弱さという名の呪縛を断てるのか…… 見守っていただければ幸いです。 一瞬誰かな……と思いましたよw
立派なミミックになってくださいw エミリちゃん……得体が知れませんねw ジャンは結構活躍してくれたキャラ、そういう意味でなら本作中で一番好きかも、です。 これからもよろしくです^^ 悲しいけどそうですね。
死者は甦ることはない、世の理です。 アレンは自分の弱さに囚われています。 応援してやってください。 謎ですね、謎が謎を呼びますね(何
伏線張るのが楽しいのでw これからの展開をお楽しみにww …お祈りを忘れちゃったことが引っかかります。
もしや。 エミリ、お天道様に顔向けできないことをっ!? Σ(-□-;) マシュー!!出てきて、何とか不幸再発の予防線をっ!! エミリの変化が何を意味するのか……
次回をお楽しみに。 ちょっとだけ予告、次回マシュウさんがまた少し出ますよw ジャンって子が妹に会って何か気付くかも?
死人復活、ゾンビ状態ですねw マシュウさんが何かやらかしたのか!? …関係ない話ですけど、先日の夢に銀蛇さんが出てきましたw(ぇ ゾンビより少しすごいかもw
ちゃんと生きてる感じですww 無論、裏がありますけど; ゆ、夢に私が!? ど、どんな感じだろ;; 気になる、気になりますよー! 銀蛇さん、こんばんは。
もわ〜と嫌な空気を発散させている今回の銀蛇様の描写。もしかしてアレン君まで主人公を疑ってないか? 体が弱かったはずの妹――それが一番怪しいのに? 恐いものみたさで、続きが楽しみです。そんなことを言って、眠れないくらいなのが来たら困るかも、ですが(笑) 続き、お待ちしてます。 いや〜な感じですよね。
静かな、でも不安にさせるシーンを目指して書いていたとこなんで皆さんからのコメで成功したかな、なんて思ってますw マシュウも普通の人から見れば十分に怪しい存在; 何せ死に装束に棺ですし; 今のアレンが最も恐れることを彼が象徴しているのかもしれませんね; エミリはあやしさ大爆発です; アレンもたぶん心の中で怖がってます; でもそこに目を向けることをアレンは一番忌避しています。 アレン君はもう失いたくないという思いにとり憑かれていますから; エミリの体を乗っ取ったなにものなのか?
焼却所の人間に何か原因があるのか? マシュウはあのあとどうしているのか? 気になること大杉(´・ω・) おお、そうきましたかー!
面白かったです^^ 銀蛇さん相変わらず上手ですね。 石和さんの作品に親近感を…というコメがありましたが、 読むほうも少し共通点を感じますよ。 テーマや作風は違うのに、何故でしょうね。 同世代作家みたいな…? ネット上でそういう出会いがあるのはすごい偶然ですね。 お話はこの流れだと、 マシュウさんがまた憎まれ役をやることに…? 出番が少なくともやはり彼は作品の要ですね。 マシュウさん…人気者になるとよいですね(笑) 個人的にはアンジェリカさんとの過去が気になってます。 ではまた〜。 謎が謎を呼びますねw
この小説、明かされないシーンや事柄も多いんですよね(ホントにエンタメか? そこを想像するのもまた一興かも…… >おお、そうきましたかー!
友人からもその言葉を頂きましたww お褒め頂いちゃって/// テーマとかある程度近いような気もするんですよ。 人間の弱さというかなんというか、そんなところも石和さんはちゃんと見てるな……なんて思います。 マシュウさんは正に作品の要です。 でも意外に苦労するのは視点の人物に近しい友人や家族などです。 彼らを如何に魅力的に書けるかがこの作品のキモです。 ドラマを魅力あるものにするのは意外に脇役だったりするんだなと思います。 アンジェリカとの過去は……何と書いてないのです(をぃ よく選考に残ったもんです;; 構想はありますしほぼビジョンは見えてますが……機会があったらぜひ書きたいですね。 無理のない程度に来ていただければ幸いです。 |
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