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2008-03-28 Fri 18:30
「そこで横になっているあなたのお友達・・・その子の命と今あなたの妹のふりをしているものの命、その二つを犠牲にすること・・・そうすればあなたに与えてあげる、あなたの望む力・・・“反魂の法”を」
その言葉ぼくの頭の中に大きく響いた。 だが、こればかりはすぐに頷くことは出来なかった。 妹の命と友達の命を天秤にかけろというのだ。 ぼくはジャンを見る。 ぼくが今まで生きてきて初めてできた友人は、あの白づくめの男に殴られまだ気を失っている。 「おにい・・・ちゃん」 妹の声が聞こえるが、腕の中から聞こえてくるそれはまるではるか彼方から聞こえてくる声のように小さくか細い。 サニアがぼくの目の前に短剣を放る。 「あなたがこの剣でそこの子を殺せば・・・あなたに力を与えてあげる」 サニアの言葉がまた僕の心を大きく揺さぶる。 (殺してしまえ、そうすれば妹は帰ってくる、前の暮らしに戻れる) (友達を犠牲になんかできない) (殺さなければすべてを失う) (人を殺すことなんて出来ない) (全てを失うんだぞ、自分の命までも) 頭の中を幾つもの思考が飛び交い、ぼくはきつく目を瞑りこぶしを握りしめて打ち震える。 「時間は少ないわよ、あの男が来るのも時間の問題」 サニアがぼくをせかす。 僕はエミリの体をそっと寝かせ、ゆっくりと震える手で短剣を拾い、まだ気絶しているジャンの傍らで膝をつき短剣を振り上げる。 「・・・・・・・・・・・・・・」 ぼくは振り下ろすことも、声を出すことも出来ず、短剣を振り上げたまま震えていた。 「・・・・・・・・・ぼくには・・・ぼくには・・・でき・・・ない」 ぼくは声を絞り出し、脱力した。 手を下げてうなだれるぼくの目じりから熱い雫が伝い落ちる。 「そう・・・残念だわ・・・」 サニアはそういったが、なぜかその表情に落胆の色はない。 「でも、こっちの子は・・・快く取引に応じてくれたわ」 サニアが言ったのと同時ぼくの首を伸びてきた手が掴んだ。 それは、ジャンの手だった その凄まじい膂力にぼくは思わず短剣をとり落とし、首を掴んだ手を引き剥がそうともがく。 ジャンは片手でぼくの首を絞めたまま立ち上がる。 それとともにぼくの足が地面から離れた 空いた手にはさっきサニアが投げてよこした短剣が握られている。 「ジャ・・・ン」 ぼくはどうにか声を絞り出し友の名を呼んだ。 「アレン・・・お前が死ねば、エミリちゃんが帰ってくる・・・お前はエミリちゃんを救えなかった・・・だからオレが・・・オレがエミリちゃんを・・・救う!」 もう辺りは暗くなり、いつの間にか満月が昇っている、淡い宵闇の中でジャンの目に赤い光が灯る。 さらに手に力が加えられ、ぼくはもはや喋ることも出来なくなっていた。 だが、どうにかしてこの言葉を伝えようと懸命に唇を動かした。 (エミリを・・・頼む) 伝わったのかジャンの表情が変わる。 目を見開き、明らかに動揺しているようだった。 そして、ジャンの手から急に力が抜け、ぼくは倒れるようにして開放された。 「げほ・・・げほっげほっ」 ぼくは首を押さえ咽ぶ。 「・・・オレはさっきまで何を・・・してた?・・・アレン・・・オレはお前に取り返しのつかないことをしようと・・・あ・・・ああ・・・あああああぁああアアあああ!」 ジャンはナイフを落とし突然に頭を押さえて叫び始める。 ぼくは涙で滲む視界でジャンを見上げる。 「アレン・・・早く俺を・・・殺せっ・・・でないと・・・でないとオレはお前を・・・お前を殺してしまう!」 ジャンが頭を押さえたままで叫ぶ。 その両目からは血の涙が流れ落ち、何かに抗うようにジャンは身をよじり悶える。 「ジャン・・・」 ぼくは何とか立ち上がり悶え苦しむ友の姿をただ見ていた。 「その子の言うことは真実よ・・・」 サニアが言う。 その口元には笑みが刻まれている。 「さあ、もう一度チャンスをあげる、剣を取りなさい・・・望む力をあげるわ」 サニアがまたぼくに誘惑の言葉をかける。 ぼくは短剣を拾う。 手は震え、全身から血の気が引いていくような感覚がぼくを襲った。 「はやく・・・コロ・・・セ・・・」 ジャンが苦しげに呻く。 ぼくは目を瞑り短剣を突き出そうとしたそのとき 「やめとけ」 明日は忙しくなりそうなので…… ![]() ↑一日一回ポチしてください ↑さらにこちらも一日一回……; ![]() ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「アンジェリカ」に投票 ↑ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回) ↑一ヶ月に一回こちらも。(あつかましい) 次へ●第三節15 反魂の法(リィンカーネイト) 前へ●第三節13 誘惑(ゆうわく) トップページへ |
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うーん…私からしてみればこれは究極の選択でも何でもないですね。死んだものは二度と生き返りはしない。それが現実ですから。どんなにつらくても、そこから逃げ出したら負けです。(とはいえ、実際目の当たりにしたら…)
ここでアレン君が妹を選んでいたら私は失望していましたが、良かったです。ジャンは予想外でしたがジャンもまた抵抗して頑張ってくれているので感動です! さて、次回はいよいよ…? マシュウ!サニアをぼっこぼこにしちゃえ♪ ですね、この状況におかれてみないとわからないと思います;;
この物語の視点の人物は弱さをもってます。 それは人なら誰しも持つ心の弱さ…… でも、これを捨てた人間は人でありながらにして人でない気がするんですよ。 そういった人間に対し失望するのはやはり零さんが人間的だからでしょうね。 ジャンは懸命に抗っていますが…… サニアさん……このひと実はごっさつおいです(謎 地味に地味に読み進め、ついに最新まで追いつくことが出来ました〜w
私はこれが、「究極の選択」なんだと思いますよ。 死んだものは二度と生き返らない。それが真の現実。 しかしだからこそ、その選択には多大な勇気と確かな決意が必要となります。 それにどの様な答えを出したとしても自身が悩みに悩んで導き出したその過程は究極と呼べるだけの十分な意味を持ったものであり、正しくそれは「究極の選択」と言えるのだ、と私は思います 長々と書き綴ってしまい、申し訳ありません。 それでは零sに続いて。 それいけ!マシュウ!! おお、ここまで読み進めてくれるとは、感激です!
「選ぶ」ことはいつも苦痛を伴いますよね。 何かを「選ぶ」ということは「選ばなかった何か」を切り捨てるということを意味しますから。 ましてやここでの取捨選択の対象は「命」 ジャンとエミリどちらも大切な存在だからこそ、アレンの苦悩は深いものでした。 でも、実のところアレンは選択することが「できなかった」んですよね…… だからこそ否定の言葉を口にできなかった…… 「しない」ではなく「できない」といった…… この先、アレンはいままで現実から目を逸らしていたツケを払うことに…… 暗い話ですがこれからもよろしくです。 何がどうなって・・・・。
ジャンにもアレンのように誘惑の声が聞こえていたということですよね? それとも、ジャンも、実はあっち側の存在? うぅーん・・・難しい!マシュウさんの解説を楽しみにしていますw >ジャンにもアレンのように誘惑の声が聞こえていたということですよね?
がただしいです。 少しカオスになってしまいましたか……すみません; ジャンは眷属に堕ちてしまいました。 きたきたきた〜、マシュウ〜!
最後のセリフ、マシュウですよねっ! 出番と見せ場が少なかったものの、いいところをグイッと盛り上げてくれますねっ! でもサニアには要注意みたいですね…(アワアワ…)。 気をつけて〜っ!! はい、マシュウです(をぃ
どんどん出番がなくなっていきますね、彼;; でもその代わり彼は要所要所で活躍(?)します。 石和さんのおっしゃるとおりですね。 サニアさんは要注意です……小悪魔というか悪魔です(をぃ 現時点でマシュウは彼女には…… サニアさんはどうしても殺させたいようで…
そこにマシュウさんの登場? 最終的に3人はどうなるのか期待ですw サニアさんは結構アレン君を高く買っているようです。
マシュウさん……ですね; 最終的にどうなるのか……お楽しみに マシュウさん、かっこいいですっっ
現われかたかっこいいですっっ と思ったウィスペルです あぁ、続きが気になりますっっ お言葉ありがとうございます。
そうですね、マシュウさんはかっこよく現れますね。 ここぞというときに現れる主人公格はこうでなくては(何 続き……少し直してみます;; こんにちは。お元気ですか。
しばらくさぼっている間にサニアの正体が明かされてしまいましたね。 美しいサニア、その選択、ジャンにもアレンにもむごすぎますよ。 ひどい、まったくの堕天使だな☆ ちょっと待てよ、とマシュウでなくても言いたくなる(笑) マシュウ、どうやら過去からのシッポを捕まれている様子だけど、どうかうまく料理してくださいな。お祈りしてます。 お忙しくされていたようですね。
お互いマイペースでいきたいものです。 一応元気にしておりますw 今日はすこし仕事が長引きましたが;;; サニアの出した選択は残酷ですね; こまった堕天使さんです☆ マシュウの過去と密接なつながりがあるこの人ですが、それが語られることは……あるのか?(をぃ できれば是非書きたいお話なのですが、今は少しきついです;; |
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