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2008-04-04 Fri 18:44
「さあ、もう一度チャンスをあげる、剣を取りなさい・・・望む力をあげるわ」
サニアがまたぼくに誘惑の言葉をかける。 ぼくは短剣を拾う。 手は震え、全身から血の気が引いていくような感覚がぼくを襲った。 「はやく・・・コロ・・・セ・・・」 ジャンが苦しげに呻く。 ぼくは目を瞑り短剣を突き出そうとしたそのとき 「やめとけ」 突然に割り込んできたのはあの白尽くめの男の声だった。 「そいつを殺して力を得たところでお前は人間ではなくなり・・・さらにそいつを殺したという事実に苦しむだけだ・・・それに、その力で仮にお前の妹を人の命を糧にする眷属としてこの世に引き戻しても・・・お前の妹もまた苦しむことになる・・・」 ぼくは男と苦しむジャンを交互に見る。 「なら・・・なら、ぼくはどうすればいいんだ・・・」 ぼくは途方にくれる。 「オレがそいつを殺してやる・・・妹の始末もつけてやる・・・」 男の提示した非情な選択肢にぼくの思考が一瞬停止する。 それではぼくは全て失ってしまうではないか・・・ジャンを殺せば・・・妹だけなりともぼくの許に残る・・・ぼくはジャンを殺すべきなのだ。 ぼくはそう思う、だが体が動かない・・・ 「ああアあアアアあアアああああ!」 ジャンがひときわ大きな声を上げ仰け反るのと共に男が地を蹴る音が響く。 次の瞬間バネが弾けるような動きでジャンがぼくに襲い掛かってくる。 だが、ジャンの手はぼくに届かなかった。 ぼくの目の前にジャンの手がきている・・・。 その指先からは鋭く尖った爪が伸びていた。 ぼくはジャンの下腹部に目を移す。 そこには男の異形の腕の先端が突き出ていた。 「・・・時間切れだ」 男が小さく・・・だが、はっきりといい、左腕をジャンから引き抜く。 ジャンが口から黒い液体を吐き出す。 その飛沫が僕の頬に散るが、すぐにそれは黒い霧となって空気に溶け消えていく。 ジャンはゆっくりと倒れていく。 ぼくはその体を慌てて受け止めた。 「ジャン・・・」 ぼくは友の名を呼んだ。 「・・・アレン・・・オレも・・・エミリちゃんを救えないみたいだ・・・ごめん・・・な」 ジャンがいうと、その体は黒い霧になり空気に溶け消えていく。 ぼくは何も言うことが出来ずただその様を見ていた。 ぼくは空になった腕を見つめ、手を握り締める。 かすかにぼくの体は震えた。 そして、僕は地面に膝をつく。 「どうして・・・どうしてこんなことに・・・」 ジャンはさっきまでここにいた・・・だが、消えてしまった、幻のように・・・黒い霧になって空に溶けて消えた。 あまりにも不可解で理不尽な・・・友の死 ぼくはただ打ちのめされ言葉が出てこない。 「残念ね、君なら強い力を持つ眷族になれたのだけど・・・」 サニアが言ってため息を漏らす。 「相変わらずえげつねえことしてるじゃねえか」 男がサニアに言葉をかける 「あら、あなたがそれを言えた義理かしら・・・?」 サニアは微笑を浮かべそう切り返す。 「あなたもかつて同じ・・・いえ、もっとおぞましい過ちを犯したはず・・・」 サニアは目を細め言葉を続ける。 「やったんでしょう?、 “完全なる反魂の法(リィンカーネイト)”……を」 そして、口の端を微かに上げ微笑を浮かべる。 その瞬間、場の空気が凍る。 動けない、なにが起こっているのか理解できないがサニアが何かをしているのは確かだった。 そしてすぐその状態は解ける。 「あら、怖がらせたかしら、ごめんなさいね」 サニアはくすくすと笑う。 ぼくはその場で崩れ落ちそうになる。 全身の毛穴から冷や汗が噴出し、体が震える。 そして、やっとさっき感じたものの正体に行き着く。 それは、恐怖。 受けた時点では頭が受け付けることを拒否するほどのそれに、ぼくは今頃震え上がっていた。 男を見ると、表情こそ変わっていないが、その頬を一筋の汗が伝っているのが見えた。 この男をもってなお、恐怖するこの女性はいったい何者なのだろうか。 「あなたに私を……そして、この子を責める資格はないわ、あなたも同じ行動をしたんですもの……そしてあなたは今もなお囚われたまま……」 男はサニアに白い炎の刀身を突きつけ 「グダグダいわず・・・さっさとやろうじゃねぇか」 男は威嚇するように凄絶な笑みを浮かべる。 対してサニアは苦笑し 「がっつく男は嫌われるわよ・・・自分でいうのもなんだけど、こう見えて才女と呼ばれる部類にはいるんだから・・・“元賢者候補”に挙がったこともあるのよ、もう少し口説き方を考えてほしいところね・・・まあ、あなたと遊んであげてもいいんだけど・・・ここにいても、もう大して面白いこともなさそうだし、今夜は失礼させてもらおうかしら」 「お前の手下を助けなくていいのか?」 サニアの言葉に男が皮肉を投げかける 「私たちの教義は欲望と自由・・・与えられた力をどう使おうがそれはそれぞれの勝手よ、でもね、自由って言葉はそれほど甘くないの、自分の行動は自分で責任を取る、それが自由ということ・・・」 サニアは少し言葉を切り、右手で髪を後ろに流す。 再び美しい漆黒の髪が月光を映し煌く。 「その子は前にいた場所で少し調子に乗りすぎた、だからあなたと相対することになった・・・あなたは分かってるはず、自由の本質は行動の選択ができることもそうかもしれないけど、それ以上に責任・・・自分自身を律することにある・・・自らの力及ばない選択、行動をとれば破滅するのは必然・・・違うかしら?」 その問いに男はただ問いかけた主を見据える。 「要はその子の破滅は自業自得ってこと・・・私が助ける理由はないわ・・・」 サニアは言って笑みを浮かべる。 次の瞬間サニアの姿が掻き消える。 それとほぼ同時にサニアは男のすぐ傍らに現れていた。 瞬間移動としか言い表せない。 それをやってのけた当人は微笑みを浮かべ悠然と佇んでいる。 「それじゃあ、また違う夜に会いましょう、そのときまでにもう少し男を上げておきなさいね・・・期待してるわ」 そう言って剣を構えたままの体勢で固まっている男の顎を少し背伸びをして撫で、クスクスと笑ってサニアは夜の闇に溶けるようにして消えた。 男は少しの間無言で佇んでいたが、ゆっくりとエミリのほうを向く。 「・・・と、いうわけだ、もうお前を守るやつはいない、遠慮なくお前をブチ殺せるってわけだ」 月光の中、凄絶な笑みを浮かべ男はエミリのほうへ歩き始める。 ぼくはその前に立ちふさがった。 「何の真似だ・・・?、少し前に言ったばかりだろ、そいつはもうお前の妹じゃあねえんだよ」 男はぼくを見下ろして言う。 そのことは頭では分かっていた、だが、心が納得してくれない、僕の心が妹を守れとぼく自身を突き動かす。 「妹は・・・エミリは、殺させない」 僕は男を睨んだ。 最近土曜に予定が入るばっか;; 明日は花見だそうです; ![]() ↑一日一回ポチしてください ↑さらにこちらも一日一回……; ![]() ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「アンジェリカ」に投票 ↑ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回) ↑一ヶ月に一回こちらも。(あつかましい) 次へ●第三節16 痛み(いたみ) 前へ●第三節14 迷い(まよい) トップページへ |
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サニアはひとまず退場ですね。
さみしいです。エエ、本気ですよ(笑)! マシュウとの激突ガチンコ対決はおあずけですね。 …それにしても、ジャーン!おうおう…(号泣)。 …「自業自得」、私も耳が痛いです。 ジャン…やっぱりそういう役ですか(涙)
過ちを犯さない人間なんていません。それを受け止め反省して、そして前へと進むことが大切だと思います。資格があるとかないとか関係なく、過ちを犯したからこそほかの人に同じことをして欲しくないという思いがあるのかもしれません。 それから それとほぼ同時にサニアは男のすぐに現れていた。 という文章の…解読がorz す、すみません;;
でも今やってもマシュウさんが一方的にフルボッコに;;(をぃ サニアさんはそれくらい強いんです;;; そういうのを書くのもいいかな……なんて思ったのですが、次回のシーンもかなり痛々しいのでさすがにやめておきました;; ジャン……こういう役柄ですTT この子についてのエピソードは第三節あとがきにて公開します。 そして、こういう小説かいてると自分自身もダメージ受けますよね;;; [自業自得]は私も痛いです それでも書いてしまうのは何故なのでしょうか;; ジャンは哀しい子ですTT
マシュウは過去を受け止め、背負い歩む男…… その背には普通の人には背負いきれない業と悲しみが…… だからこそ、真に優しいのかもしれませんね。 彼は一見粗野で冷徹ですが、その芯にある確かな人間性を垣間見てもらえてうれしいです。 うわ、編集中に消えちゃってました;;; 「傍らに(かたわらに)」が入るのですよ;;; 少し改造してさらにわかりやすくしたつもりです。 見苦しいところを見せてしまいすみませんm(_ _)m そしてご指摘ありがとうございます。 ジャン死んでしまいましたね…;
このままではアレンが一人になってしまう! でも妹は元から死んでいたんだし… アレンの今後が心配です ジャン……悲しい子です;;
でもアレンはもっと…… アレンがこれからどういった道筋を辿るのか…… 次回、かなり痛い展開に;; さらばジャン。一気に読みましたがアレンは中々不幸な人生を歩むことになりそうで…人生色々と入ったものだが…
今までとは違ってマシュウがあまり攻勢に出ない所を見ると、どうやらこのサニアお姉さま(!?)相当強いお方らしい。 うむ、魅力的な人物だ(注目するのはそこです…すいません、なんか) ジャン・・・悲しいですっっ
そしてアレン君の今後が気になります・・・・っっ マシュウさん、一体どう・・・・っっ ここまで読んでいただいて、ありがとうございますっ。
アレンがこれからどういう道筋を辿るのか……見守っていただけるとうれしいです。 サニアお姉様はすさまじく強いという設定です。 マシュウの父親レグル(この人もトップクラス)に匹敵する強さ。 魅力的といっていただきうれしいです! サニアさん、リリスお姉さまと通ずるところがありますよね、いいお友達になれそう(をぃ ジャンの最後に悲しんでいただきありがとうございますっ。
アレン君……次回はいろんな意味で痛い展開に…… マシュウさんに非難の嵐か!? ……おたのしみに;;;; アレンの今後が心配ですね。私だったら、これで奇跡的に助かっても鬱状態になりますよ。大切なモノを全て失い、残るのは自分だけという状況になったことがないので、想像でしかありませんが。
マシュウさんの次回の動きが楽しみです。 その状況におかれたら私もたぶん鬱になるかと;
生きる気力とかなくなってしまうでしょうね…… マシュウさんがどう立ち回るのかお楽しみに…… でも次回、かなり痛い展開になるんですよね;;; ジャンかあいそすw
アレンついに一人に・・・ 今度はどうなる? 妹は殺させない→自分で殺す or →マシュウとバトル ジャン……悲運のキャラです(TT
アレンVSマシュウ……ファイッ(本当です;;; |
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