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無題第三話7
2010-08-26 Thu 22:52
放たれた炎の矢が男めがけて疾走する。

男は左手に持った大剣を振るうと、それに巻き込まれた炎の矢は吹き散らされる。

「なに!!?」

ソードが声を上げる。

「この剣は”精神力遮断合金(ハルモニウム)”製だ、半端な魔術など掻き消してしまうぞ」

男が左手の剣を翳しそう告げた。

”精神力遮断合金(ハルモニウム)”ミスリルと呼ばれる稀少銀をベースに数種の金属を無重力下で混ぜた合金だ。

これは純金属に宿る精霊のもつ生物の放つ精神力と反発するという特殊な性質をうまく使った技術といえる。

ミスリル自体が稀少な上、精製に特殊な技術が必要なため、流通している量がかなり少ない。

そのため価格が高い上に鉄よりも比重が重く、これで作られた武器の扱いはかなり難しいといえるだろう。

(反則だろ、オイ!)

ソードは心中で歯噛みする。

魔術の速射は奥の手というだけありリスクも高い。

まず、失敗する確率が高い、魔術の失敗は死に繋がることすらある。

次に威力がどうしても低くなる。

先ほど放った”炎矢”も、いつもの七割ほどの威力しか出ていなかった。

しかも消費する精神力もあまりに繊細な技術なため、大きくなる。

かなりリスキーだが、それでも有効な技術なのは言うまでもない。

しかし、この奥の手でさえも目の前の巨漢はいとも簡単に退けてしまった。

(剣でもだめ、魔術でもだめ……か)

ソードは覚悟を決め言葉を紡ぐ

「おい、引いてくれねぇかな……ここでやめとけば死人は出ない、このままやればどちらかが死ぬ……俺は死んでやるつもりはないしこの刀も渡す気がない……それでもやるってんなら本気で行く」

空気がにわかにに張りつめる。

すさまじい”敵意”が吹きつけるような感覚に隠れて見守っているミリア達は凍りつく。

男は暫く黙っていたが、ゆっくりと構えを解き

「……やめておこう、確かにただではすみそうもない」

その言葉にソードも緊張を解く。

「はぁ、今回もダメか……」

アレスがため息混じりに呟く。

「申し遅れた私の名はジーク=フォン=フリード……この隊の隊長として非礼を詫びよう、この通りだ」

大男……ジークは頭を下げる。

「ギュパー、この落とし前、どうつけてもらいましょうかね?」

「いっぱいお菓子くれたらゆるしてあげないでもないよ!」

いつの間にかソードと並んでふんぞり返って要求をするシオとルシアの頭にソードの鉄拳が落ちる。

「俺はソード……流れの何でも屋だ……」

ソードは名乗って嘆息した。



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