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ウィザード?
2016-01-15 Fri 22:10
町は賑っていた。
 多くの人々が行きかい、石畳の敷かれた路上を挟み立ち並ぶ商店が競うように客引きをしている。
 その喧噪の中を一人の少女が歩いていた。
 身なりはこの通りを行きかう人々の中で見れば少し粗末に見える。
 少女はどこに行くともなくうろうろとしていると、恰幅のいいいかにも金持ちそうな男にぶつかり倒れる。
「おいっ、どこを見て歩いてる!」
 男が声を荒らげる。
「あなた、こんな娘に」
 男の隣にいる妻らしき女が男を窘め、少女に駆け寄り。
「ごめんなさいねお嬢ちゃん」
 と言ってハンカチを差し出す。
 しかし少女はそれを取ろうとせず、無言で立ち上がり駆け去っていく。
「全く、なんなんだあのガキは……いくぞ」
 男は毒づき歩き始め、女も寂しげな顔をしてそれに続いた。

 
 人目につかない通りまで来て少女は走りながら笑っていた。
「やってやったぜ」
 そして口汚い言葉を漏らす。
 その懐には先程手にした”今日の収穫”が入っている。
 その伝わってくる重みに少女の頬は緩む。
(でも、アジトまで帰るまで気を抜くわけには)
 少女が気を引き締めなおそうとしたとき、何かに躓いて少女は倒れる。
「ててて……なんだよくそっ」
 少女は頬を弛緩させてはいたが、気を完全に緩めてなどいなかった。
 そういう訓練を受けている自分がこういった状況で石などに躓くなどありえない。
 少女がとっさに振り向くと、背後に男が立っていた。
「どわ、なんだよおっさん!?」
 少女は思わず声を上げてしまう。
 男は旅人風な格好をしていた。
 顔の下側は無精髭で覆われ、髪は伸び放題、服もどれくらい洗っていないのか汚れが目立つ。
 ここが街はずれなら野盗と見紛われるだろう。
「なんだよってなぁ、見てたよおっさん、盗みはよくないと思うなーっと」
 見てくれは悪人風だが声音はどこか気の抜けたような男に少女は柳眉を上げ
「おっさん、あたしのことなめてっと痛い目見るぞ、それに説教なんざ聞きたくもねぇ、わかったらとっととどっかいけ、この×××!」
「口の悪い嬢ちゃんだな……」
 男は相変わらず気の抜けたような口調で言って頭を掻く。
「痛い目に合わなきゃわかんねぇみたいだな」
 少女は言って懐に忍ばせていたナイフを引き抜き、刃を上にして真半身に構える。
 そして相手に向けて素早くその体制を保って疾走する。
 しかしそれは途中で止められた。
 少女の手首は『手』で抑えられていた。
 しかし標的の男は相変わらず頭をポリポリと搔いている。
 フケが落ちているのが見えた。
 少女は改めて自分を抑えている『手』を見る。
 それは宙に浮いていた。
 「ぎゃああああああああああ」
 少女が悲鳴を上げる。
 慌てて男が少女の口を手で押さえる。
 「おいおい、勘弁してくれ、これじゃ俺が犯罪者みたいじゃねぇの」
 半分呆れたといった言葉を男は発する。
 自分を抑えていた『手』が縮み、男はそれをつかんで懐にしまい
「見た通りこれは手袋だよ、俺はまぁ、月並みな言い方をすれば魔法使いだ」
 少女は男の拘束を振りほどき
「うそつけ、魔導士ってのは火とかそういうもんを使うもんだ、似非野郎!」
 少女は半ば叫んでまたナイフを構えようとするが、掌中にそれがないことに気づく、それどころか懐にあった重みさえもなくなっている。
 慌てて視線を男の向けると、男はナイフと財布を持って気持ちの悪い笑みを浮かべている
「てめぇ、返しやがれっ」
「ナイフは没収、財布は持ち主に返してきてやるよ、じゃーなー」
 男は笑いながらすさまじい速度で走り去っていく。
 少女はその背ををただ見送るしかなかった。
「ちぃくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
 少女は絶叫した。

 結局”今日の収穫”をとり損なった少女は路傍で膝を抱えて座っていた。
 このままでは確実に折檻を受けてしまう。
 しかし、また盗みに行こうという気にもならなかった。
 一回得た成果を攫われたというのもあるが、もともと気の進む仕事ではないというのが大きかった。
 この世界は自分のような非力な存在には驚くほどに非情で残忍だ。
 折檻を受けて死んでしまった同じ境遇の仲間もいる。
 先程の収穫分も稼げれてさえいれば当分盗みをしなくてもいいはずだった。
 動かなければいけない、自分が生きていくために。
 それでも少女は動けずにいた。
『盗みはよくないと思うなーっと』
 あの男の声が脳裏によみがえる。
「わかってんだよ、盗みが褒められたことじゃねぇってことなんざよぉ……」
 独り言をつぶやくとともに少女の頬を涙が伝う。
「でも、どうすりゃいいんだ……こういう生き方しかあたしは知らないんだ……」
 どうにもならない現状を少女は吐露する。
「悪かったな、ある意味無責任なことしちまった」
 かけられた声に顔を上げるとあの男がいた。
「……金は?」
「大慌てで財布探してた持ち主探して返しといたよ」
「……そう……そりゃよかった、あたしはこれからヒドイ目に合うけど」
 少女は沈んだ口調で言った。
「俺はソル、旅の魔導士(ウィザード)だ、お前は?」
「……リラ……」
 名乗った男、ソルに対し少女、リラは素直に答える。
「お前、盗賊ギルドに在籍してんだよな……どうだ、足洗ってみるか」
「簡単に言わないでよっ、足抜けしようとして制裁受けた仲間が何人いると思ってんの!」
 男の言葉に少女は声を荒らげる。
「それについては心配なし、俺がそうさせない、さ、そうと決まったらさっそく話し合いに行こうぜ」
「ちょ、まってよ」
 ソルは自信ありげに言って歩き始める。
 リラは慌ててそれに続いた
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この記事のコメント
お久しぶりです
アンジェリカ以来…でしょうか…いや、ソードと
物騒な森で結婚適齢期を過ごすババa…げふんげふん…以来か?

まあ、お互い
安心してください
https://www.youtube.com/watch?v=NcqTWSVcGWQ
生きてますよ
https://www.youtube.com/watch?v=QBpoBO5Q5vo
ですね(笑)

リラちゃんは金髪ショートなツンデレいう勝手な決めつけをしています(笑)
さて、次回はソルのおっさん無双が見れるかな…楽しみです(笑)

私も小説再開?しようかな…いくつか書いたデータが消えたらやる気なくなるとです(涙)
2016-01-24 Sun 22:26 | URL | 零 #JalddpaA[ 内容変更] | top↑
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