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アンジェリカ第二節② 語らい(かたらい)
2007-09-15 Sat 23:38
男は出された料理を豪快に平らげていく。

「ずいぶん豪快な食べっぷりだね……」

僕は半分あきれて言う。

実に八人前の料理をあっという間に男は平らげたのだ。

「食えるときに食っとかねぇと、次はいつ飯にありつけるかわからねぇんでな……なにより、あんたの親父さんが遠慮はするなといっただろう?」

 男は言って笑う。

「確かにね……」

 僕は言って苦笑する。

「でもすごいのよ、私に襲い掛かってきた男の人たち全員をあっという間に追い払っちゃったんだから」

姉が少し興奮気味に言う

こういうことで興奮する人ではないのだが……恐らくこの男の手際が恐ろしく鮮やかだったのだろう。

「これから外出するときは気をつけなさい、最近は物騒になってきたようだからな……改めて礼を言わせてくれ」

 父は言って男に頭を下げる。

「別にたいしたことはしてねぇさ、うっとおしいハエ共を少し小突いただけだ」

 男は言ってコップの酒を飲み干す。

 さっきから水のように何杯も呑んでいるが、まったく酔っているようには見えない。
 しかし、わからない男だ。

 普通の流れ者ならどこかしらの訛りがあってもよさそうなものだが、男は荒いものの流暢に公用語を操っている。

 生まれを聞いても『そんなものは忘れたな』とはぐらかされた。

 何より謎なのは食事に右手しか使わないことだ、左手は半身を覆うマントから決して出そうとはしない。

 男の傍らに置かれている棺も十分すぎるほどに気になる

 それらについてもやはりはぐらかされ、父に窘められたためそれ以上の質問はできなかった。

「さて、腹八分といったところで止めておくか、今日は世話になったな」

 男は言って席を立つ

「そう急くことも無いだろう、今日は泊っていくといい、ウェイン、彼を客間に案内差し上げろ」

「はい」

 僕は父に答えて立ち上がる。

「やれやれ、疫病神を留めておくとロクな事はねぇぞ……といっても逃がしてはもらえないんだろうがな」

「案内するよ、行こう」

 僕に促され、男は苦笑を浮かべつつも僕の案内に従う。

 廊下に出て少し歩いたところに客間はある

「ここが客間、まぁ、ゆっくりしてよ」

 僕はドアを開けて男を客間に導く。

「あんたの姉さん、たいした美人だな」

 男の言葉に僕は顔をしかめる。

「あんまり変な気は起こさないでくれよ、来週結婚するんだ」

 思わず声に険が出る。

「俺には心に決めた女がいるんでな、そういった心配は無用だ……それに、やるならとっくにやってるさ」

 男はもっともな事を言って客間に足を踏み入れる。

「ありがたく寝床は使わせてもらおう、じゃあな」

「……ごゆっくり」

 僕は言ってドアを閉めその場を後にした。

 翌日、僕は相変わらず法律の本と格闘していた。

 コンコン

 ノックの音が部屋に響く

「……どうぞ」

 僕は手を止めてドアを見る。

 現れたのは男だった。

 変わるはずも無いが相変わらず目立つ格好だ。

「ほう、勉強家だな……」

 男は言って傍らの本棚に並んでいる分厚い本を手にとる。

「法律か……大層分厚い本だ」

 男は言葉を続け本をぴらぴらとめくる。

「まぁね……で、何の用?」

 心の中でこの男が字を読めることに驚きながらも僕は男に用件を聞く。

「なぁに、お前の姉さんと親父さんがいない間に退散しようと思ってな」

 男は本を閉じて元の位置に戻し

「まぁ、せいぜい大事な姉さんに気をつけるよういっとくんだな、じゃあな」

 男は言って僕の部屋を後にした。

 僕は伸びをして息をつく。

 やっと心配の種が一つ減った。

 そう思い僕は少し顔を綻ばせる。

 そして、カレンダーに目をやる

「明日からは学校か……」

 僕は呟き、また本の上に並ぶ文字に目を這わせた。



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この記事のコメント
新章読ましていただきました。
前作と違ったスタートで新たな気持ちで読みました。

マシュウ、よく食べますねw
2007-09-16 Sun 22:10 | URL | 紅影死神 #-[ 内容変更] | top↑
紅影死神さん
読んでもらってありがとうございます。
こんな感じで視点の人がころころ変わる変な小説です;

マシュウさんはいろいろと規格外の人なので;
2007-09-16 Sun 22:19 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
新章、いいスタートでした。かなり脳内でイメージしやすかったですよ!

マシュウさん「そんなものは忘れたな」
うわぁ・・・かっこいいよマシュウさんw
2007-09-16 Sun 23:11 | URL | 蒼月樹 作也 #mQop/nM.[ 内容変更] | top↑
おほめの言葉、ありがとうございます。

マシュウさんの台詞の渋さをわかっていただけてうれしいですw

2007-09-16 Sun 23:26 | URL | 銀蛇 #-[ 内容変更] | top↑
おお、こういう感じに続きますかー。
マシュウさんがキーパーソンでしたか。
ウェイン君は、立派なんだけどちょっと打たれ弱そうですね…銀蛇ワールドは危険がいっぱいだから…どうなるかなー?

もうちょっと読みますね(返信なくてOK!)
2007-11-04 Sun 00:04 | URL | Michi #goVLvfsE[ 内容変更] | top↑
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