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アンジェリカ 第二節3 無惨(むざん)
2007-09-22 Sat 20:06
 翌日、久々に僕は登校した。

 マインスター法律学校

 父もこの学校から法務官になった。

 もう幾度と知れず歩いた並木道も少し新鮮に感じる。

「よう、ウェイン久しぶりだな」

 いつもの教室に着くと、よく知った顔が出迎える。

 久々に会う面々と顔を合わせ、自然と会話も弾む。

 僕はクラスの中で五人ほどのグループと付き合っている、話をするのももっぱらそのメンバーだ。

「今日は始業式だけで午後は開くらしいし、皆で遊びに行こうぜ」

 友人のうちの一人、メンバーのリーダー格のカイルが提案を出す。

「おっ、いいな」

 友人が提案に同意する。

「ウェインは今日開いてるか?」

 問いかけに僕は少し考える。

 いつもは父が道草をして帰ると

「法を扱おうという者が規則を破るとは何事だ」と怒るので何かと理由をつけて断るのだが、今日くらいはいいだろうと思い、頷く。
「ああ、今日は開いてるよ」

「よーし、それじゃあ決まりだな」

 カイルが言ったとき教師が教室に入ってきた。

始業式は滞りなく終わり、教室に戻った僕たちは教師から寄り道などせず帰るようお決まりの文句を言い渡され、その日は解散となった。

 その後、カイル達と外で待ち合わせをして合流し、店で軽く昼食を摂って僕たちは街に繰り出した。

 久々に勉強から解放された僕は友人達と楽しんでいた。

 そんな中、路地裏で人だかりができているのに気付く。

「お、何だ?、行ってみようぜ」

 カイルは言うやいなや人だかりに近付いていく。

 僕達もそれに続いた。

 カイルの野次馬根性は今に始まったことではない。

「よ、なにがあったんだ?」

 カイルが野次馬の一人に尋ねる。

「強姦殺人だとよ、よってたかって男共に嬲られた挙句めった刺しだそうだぜ」

 野次馬の男はこともなげに物騒な言葉を口にする。

「げ……さすがに俺もこういうのはパスかな……」

 カイルは珍しく引いたように顔をしかめる。

「行こう、せっかく皆揃ってるんだし、そんなもの見ることもないだろ」

「そうだな」

 僕の言葉にカイルは同意し、僕達はその場を後にした。

 そして、そこそこの時間に僕は彼らと別れ家路に着く。

(久しぶりに楽しかったな)

 そんなことを考えながら家の前に着くと、家の前に憲兵が立っていた。

「あの……僕の家になにか?」

 僕が声を掛かけると憲兵は横柄な視線を僕に投げる。

「お前がウェイン=ストライフか?」

「そうですけど……」

「では、詰め所まで同行願おうか」

 憲兵の唐突であり不躾な言葉に僕も流石に頭にくる。

「僕が何をしたっていうんです!?」

 僕が声を少し荒くして問うと、憲兵は忌々しげに舌打ちをし

「お前が何かしたわけではなく、お前の姉が殺されたんだ、一応本人の確認と身柄の引渡しをせねばならん、お前からも聞きたいことがあるそうだ、同行願おう」

「そんな……姉さんが……」

 憲兵の告げた言葉はあまりに衝撃的だった。

「こっちも暇じゃないんだ、これ以上手間をくわすなら縄を打つぞ」

「わかりました……ご一緒します」

 憲兵の脅しに、呆然としながらも僕は頷いた。


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 
 憲兵詰め所、死体安置室

 そこに、死体は横たわっていた。

 憲兵がゆっくりと顔にかけられた布をとる。

「……姉さん……!」

 僕は、認めたくない事実を口にした。

 布の下から現れた顔は確かに僕の姉、フローラだった。

「間違い、ありませんね?」

 憲兵の問いに僕はただ頷く。

 今一緒にいるのは迎えに来たのとは違う人だ。

「……心中お察しします」

 ガチャ

 憲兵の言葉とともに入り口のドアが音を立てて開き、二人の男が部屋に踏み入れてくる。

 内一人は憲兵、もう一人は父だった。

父の視線は少しの間宙を彷徨った後、一点に釘付けになる。

「…………フローラ……」

 父は姉の名を呟き姉のなきがらの傍らに歩み寄る。

「フローラ、起きてくれ……一緒に家に帰ろう」

 父が姉に語りかける……無論、返事はない。

「父さん……」

「何故だ、どうしてこんなことに……娘が、娘が一体何をしたというんだ!」

 父は天井を仰ぎ見て叫び、その場で膝を折り姉に縋(すが)るようにして声を上げて泣き崩れる。

 僕は、ただその様子をじっと見ることしか出来なかった。

 今、目の前で起こっていることにまるで実感がもてない。

 いや、僕は目の前の現実を受け入れることが出来なかった。

 何より、僕はここまで取り乱す父を始めて見た、それが僕の感覚をさらに麻痺させたように思えた。

 このあと、僕と父は、改めて姉が無残な方法で殺されたことと、犯人がまだ捕まっていないことを告げられた。



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