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第二節7 横顔(よこがお)
2007-10-06 Sat 22:00
それから一週間後、僕はまだ学校を休んでいた。

 父の容態があれから悪くなる一方なのだ。

 最近では体を揺すらなければ父は僕の存在にすら気付いてくれなくなった。

 食事もほとんど水しか摂らなくなり、父は日に日にやつれていた。

 姉を殺した犯人が捕まったという話もまだ来ない。

 ここ一週間、父の世話に忙殺されている僕の疲れも、ピークに達そうとしていた。

「ふぅ……」

 いつも家族で囲んで食事をしたテーブルに肘を付き、僕は一つため息を漏らす。

 いつも厳格で礼儀正しかった父が、このような壊れ方をするとは、思ってもみなかった。

 そして、やはり気に掛かるのは神父と修道女を名乗ったあの二人だ。

 彼らは何者なのか、僕がいない間……父とあの二人だけの空白の時間に何があったのか……その後から父の様子がおかしくなったというのは明らかだ。

 コンコン

 物思いに耽っていた僕はドアをノックする音で現実に引き戻される。

 どうやら来客らしい。

「はい」

 僕は返事をして玄関に行きドアを開けると憲兵がそこには立っていた。

「ケイン=ストライフさんはおられますか?」

「すみません、父は体調を崩しているので……僕は息子のウェインです、ことづてなら僕が承りますが」

 僕はもう何度したかわからない受け答えをする。

「そうですか……ならあなたにお伝えします、フローラ=ストライフさんを殺害した犯人数名が逮捕されました」

「本当ですか!?」

 僕は疲れも忘れ聞き返す

「これが犯行に加担した人物のリストです」

 憲兵は言って紙を僕に手渡す。

「三日後に裁判が行われるので、できれば出席してください、では、失礼します」

 憲兵はそう言って立ち去った。

 僕は早速父に報せ、渡された紙を開き父と一緒にそれを見る。

 そこには何人かの名前が書き連ねられていた。

「これは……」

 その名前の列に僕は驚きを隠せなかった。

 載っていた名前は五つ、その全てが貴族の子息の名だったのだ。

 僕はふと父に目を向ける。

 痩せこけた容貌で、ただ目にだけ強い光を湛えて父は書面を食い入るように見ていた。

 僕はその横顔に、危険なものを感じずにはいられなかった。
 



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この記事のコメント
こんばんは~♪
読ませていただきましたっっ
ルシア、やっぱいいですねww
なんか、愛らしいというか
リリアンも、そうなってくれたら(無理
アンジェリカ、続きが楽しみであります♪
2007-10-06 Sat 23:23 | URL | ウィスペル #-[ 内容変更] | top↑
ルシアはある意味主人公として作ったキャラなんですよ;
とりあえず私らしくない底抜けに明るいキャラですね;

リリアンもいい味でてるじゃないですかww
人をおちょくった態度とか(をい
2007-10-07 Sun 17:03 | URL | 銀蛇 #2Tva8WmY[ 内容変更] | top↑
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