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第二節9 騒然(そうぜん)
2007-10-06 Sat 22:00
 現場に着き最初に耳に入ってきたのは女の泣き声だった。

 人混みを掻き分けて一番前まで出て目に入ってきたのは前に僕の家を訪ねてきたシスター・エレンだった。

「おお、レイルズ・・・何故こんな・・・聖天使よ、何故彼にこのような仕打ちを」

 泣き崩れるエレンの少し離れたところに被害者の神父が横たわっていた。

 すぐに憲兵の一人が布をかぶせたが、確かにその姿は見た。

 老齢の男だった。

 彼が姉の葬儀を受け持っていたはずのレイルズという神父なのだろう。

 ホルスという男とは年齢も容姿も、似ても似つかない。

(ということは・・・あの二人は、この人を殺して神父に成りすましたということか・・・?)

 僕は体中に沸き起こる悪寒に青ざめた。

 手の平にはびっしょりと冷や汗が滲んできている。

 あの二人の目的は、恐らく父だ。

 人を殺してまであの二人は父に近付き一体何をしたというのか・・・

 僕は胸騒ぎを感じ憲兵詰め所へと走った。




 憲兵詰め所は騒然としていた。

 憲兵たちがそこら中で声を掛け合い走り回っている。

「おい、お前何をしている?」

 突然声をかけられ僕は肩を竦ませ振り向くと、そこには憲兵が立っていた。

「な、何ですかこの騒ぎは?」

「そんなことはお前には関係ない、早々にここから離れろ」

憲兵はそう言って、足早に詰所の中に入っていく。

僕は、こっそりと詰所の中を覗き込む。

「くそ、イアンとハンスはどうなった?」

「重傷です、手当てはしていますがもつかどうか・・・」

「他にも重軽傷者が数名出ています」

 リーダーらしき男に数名の男が報告をしているところのようだった。

「それで、肝心の脱獄囚は?」

「ケイン=ストライフはまだ捕まったとの報告は受けていません」

(!!)

 僕は驚きに思わず声を上げそうになる。

 父が脱獄した・・・しかも会話の内容からして数人の憲兵に重軽傷を
負わせているようだった。

(馬鹿な、確かに父はあのときまで衰弱して・・・)

「そこのお前、ここは危険だ、早くここから立ち去れ!」

 後ろから憲兵が怒鳴り、僕を押しのけて詰め所に入っていく。

 中にいる憲兵たちの視線も僕に注がれる。

「す、すみません」

 立ち去ろうとした僕の肩を憲兵が捕まえる。

「お前・・・ケイン=ストライフの息子じゃないか?」

 僕は思わず顔を引きつらせた。

 振り向くとそこにいたのは姉の死を知らせてきたあの横柄な憲兵だった。span>


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